こくあまメロン
feature こくあまメロン物語。

2020年に発売3年目を迎える、たかしま農園のこくあまメロン。
農園長の溝江が一人でこっそり試作を始めたことで実を結んだ商品です。
その様子を、同じくこっそり見守り、いつしか堂々と手伝うようになった中堅スタッフの杉本が振り返ります。

農園長、なぜ、メロンなんですか?!

メロンの試作を見守られていた数年間、本音はどうでしたか?

杉本:

率直な気持ち、「なぜメロン?」と思っていました。(笑)

笑。

杉本:

自分たちの中ではメロンは高級品だと思っていましたし、他にも何かあるのではないか?トマトのノウハウで作れるのかな?と疑問に思っていたからです。ある日、その疑問を所長にぶつけてみました。

すると、所長は「メロンで一番難しいのは水と湿度。うちにはハウスがあるし、条件的に作りやすい」と。たかしまフルーティトマトは水や肥料を限界までカットして美味しく育つようにしています。そのコントロールするノウハウが生かされるということだったんです。

中堅スタッフの杉本さん
高島町出身。中堅スタッフの杉本さん。H23年に入社し、今や農園長からも頼りにされる存在。たかしま農園で働くきっかけになったのは、当時の社員から「手伝ってくれないか」と声をかけられたから。趣味はゲームとサッカー。

そうなんですね。

杉本:

加えて、トマトの栽培期間と被らずにハウスで作れるものといえば、メロンだったんです。離島の農園なので、土はもちろん農業用水もすべて運んできています。作付面積を増やすのは簡単ではなく、であれば、単価が高い農産物のほうが適しているということでした。

また、メロンは農法で風味の特徴が出しやすいそうなんです。そういった話を聞き、メロンを作るということに納得できました。

いざ本格的にメロンを試作される際に、どのようなメロンを目指されたのですか?

杉本:

皮のギリッギリまで食べられる、とにかく甘いメロンです。

たかしま農園のモットーとしては「なんでも甘く、美味しくつくる。」ですが、メロンの場合は「皮のギリギリまで」という目標がプラスで定められました。

皮のギリギリまで食べられると嬉しいです。

杉本:

はい、甘くて美味しいメロンを最後まで笑顔で食べていただきたいです。

九州は気候が温暖なこともあり、メロンの皮が厚くなりがちでなので、常に「皮のギリギリまで美味しく作るぞ!」と思って育てています。

こくあまメロンのイメージ
「皮のギリギリまで美味しく作りたい。」杉本さん

メロンにも色々な品種がありますが、たかしま農園のメロンの品種は何ですか?

杉本:

「アールスメロン ミラノ夏I」というメロンです。上品な甘さと、メロンならではの香りが豊かな品種です。果肉は肉厚で、なめらかな食感。夏に強い品種でもあります。ただ、気をぬくと大きくなりやすいんです。大きいと水っぽくなりせっかくの甘さや香りも発揮できません。たかしまフルーティトマトは、水や肥料を極限までカットする農法で少しずつ大きくしていますが、メロンの場合は蝶よ花よと甘やかして育てつつ大きくならないように気を配ります。

真逆に思える農法でも、甘さをギュッと閉じ込めて程よい果実の大きさにするのは共通するんですね。

杉本:

メロンは繊細なので、水をあげる時はちょっとずつ。水を切るときも徐々に減らします。ネットが張る時は水をあげすぎると一気に大きくなって割れてしまうので、暑さで乾燥したからといっていきなり水をあげてしまうのはNGなのです。

2018年の夏は猛暑で、ハウスの中は40度を超えてしまうほどでした。メロンは高温すぎると味が落ちてしまいます。ハウスに遮光液をかけて直射日光を避けるということと、水をまいて温度を下げました。また、夏はメロンにとって有害な虫も元気な時期。ハウス内を快適に保つために風通しも良くしないといけませんが、虫が入らないように気を使います。

メロンのハウス
メロンのハウス。トマトのシーズンが5月中旬に終わり、そのあとでメロン用の栽培が始まる。2020年の定植は5月9日、20日。6月10日から受粉開始し、受粉後約55日前後でメロンが出荷できる状態になる。

夏にメロンを育てるのは大変なのですね。「トマトに比べてここは楽!」と思えるポイントはないのですか?

杉本:

そうですね・・・ひとつあげるとすれば、メロンは1つの木に1個しか作りません。トマトは1つの木に約30個実ります。メロンは3箇所だけ受粉して、のちに一番きれいなものを選んで他は落としてしまいます。トマトの場合は、多い上に、シーズン中繰り返し受粉を行っていますが、メロンは3箇所に1回だけ。1日で終わります。楽なのですが、融通はきかないです。1回勝負のところがありますね。

あらためて、試作期間の紆余曲折を教えてください。

杉本:

最初の試作はすごくうまくいったんです。これはすぐに発売できるぞと思いました。

しかし2年目、土に病気が出たんです。メロンは「種から植えて育てる方法」をとっていて、これは病気に弱いんです。トマトは接ぎ木して育てますので耐性があるのですが、メロンはデリケートなんです。1年目のあの出来はまぐれだったのかと落ち込みました。

そうなんですね。土の病気にはどのように対応されるのですか?

杉本:

3年目の試作に取り掛かる際にまずは土壌をきれいにました。その効果で順調に育ったのですが、今度は販売できるほどの数が揃いませんでした。

そこで、4年目はハウスの場所を海側に変更しました。移動した場所で作り直し、なんとか安定した味と数がとれるようになりました。

メロンのハウス
「年々、メロンの栽培の難しさを知ることになった。」と杉本さん。農業は難しいが、結果的にやりがいと面白さの方が勝っているという。

場所的には大きく離れているわけではないですが、それでもメロンには影響があるんですね。

杉本:

はい。本当にデリケートです。

4年目で理想的なメロンが出来上がり、まずは、いつもお世話になっているお取引先さんや、関連会社に試食用としてプレゼントさせていただき、味の感想を聞くことにしました。

すると「もっと欲しい」「美味しい」の声をいただいたんです。いよいよ販売をすることになりました。

実際に販売してみていかがでしたか?

杉本:

販売初年度は、率直に「玉が大きいな…」と思いました。中には箱に入らない大きなサイズもありました。大きいものは水っぽいんです。そういう玉が出ないようにするというのが目標になりました。

種屋さんにもメロンを持って行き、今後に生かそうと意見を伺ったところ「この時期に15度を出せるというのは大したものだよ」と言われ、それは自信につながりましたね。

まだまだ勉強不足の所がありますが、その年ごとに修正点と目標を定めて次の年に生かして、より美味しいメロンを目指しています。

見た目も、味も、良くしたい。

杉本:

メロンはギフトとして選ばれてきた物ですので、見栄えで価格が決まるところもあります。

見た目重視で価格が決まるんですね。味と価格は関係ないのですか?

杉本:

いえ、関係ないわけではありません。ネット(表面の模様)が綺麗な見栄えがいいものは、味もよく糖度も高いんです。こくあまメロンの場合、味も糖度もいいものが出せていると思いますが、見栄えはこれからもっと上げていきたいです。

でも、ネットを美しく張れるかどうかはメロン任せではないのですか?

杉本:

実は、メロンはとても繊細な果実ですので、軍手をした手袋でさっと撫でていくだけで傷がついて、そこがかさぶたのようになるんです。それがネットとなるんです。

えー!そうなんですね。知りませんでした。

杉本:

ソフトボールくらいの大きさになったくらいに、2回、軍手で傷をつけます。その傷が成長するにつれ割れ、かさぶたとしてメロンのネットがはるんです。

ただ、撫でるのはあくまでも手助け。湿度を高めに保ってあげると綺麗なネットがはれます。

1回目は縦にネットが入り、2回目に横に張っていきます。

撫でることと、湿度の管理で美しいネットを張れるようにサポートされているのですね。

大きさや形で選別しつつ、ひとつひとつ糖度を計測します。 大きさや形で選別しつつ、ひとつひとつ糖度を計測します。
大きさや形で選別しつつ、ひとつひとつ糖度を計測します。

トマトの人気に乗っかって・・・。

メロンは販売から数年の商品ということもあってか、
皆さん「これからもっと美味しくする!」という意気込みを感じます。

杉本:

こくあまメロンは、まだまだ知名度がないと思います。ですが、トマトの看板に乗っかって、トマト経由でメロンのことも知っていただき、まずは食べていただきたいなと思います。トマトが甘くて濃いことを知ってくださっているので、メロンもやっぱりそうきたか!と思っていただけるようにしたいです。

トマトが終わったら、次はメロンだ!とお客様に楽しみにしていただけるよう、メロンづくりにも励んでいきますのでよろしくお願いします。

農園スタッフの磯根さん